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25歳からのバレエ教室

プロパフォーマーとして独立したはいいものの、当然ながらいきなりシルク・ドゥ・ソレイユに出演できるわけではありません。

世界チャンピオンとしての競技ヨーヨーの技術と、プロパフォーマーとしてのショー技術は、全くの別物。

「肩書だけは立派だが、中身が伴っていない」というのが当時の私でした。

そんな私を育ててくれたのが、「イクスピアリ」という東京ディズニーリゾート内のショッピングモールです。

運良くレギュラーパフォーマーとして採用していただいた私は、共演する先輩パフォーマーの皆さんからパフォーマーとしての基礎を教わりました。特に David Ramsay氏 には、舞台の使い方から道具のデコレーションに至るまで幅広くご指導いただき、今でも心より感謝しています。

また同時期に、憧れていたジャグラーViktor Kee氏にお会いし助言をいただけたことも、非常に大きな収穫でした。

Viktor Kee氏はウクライナ出身のジャグラーで、シルク・ドゥ・ソレイユのショー「Dralion」に出演されていました。

私がシルク・ドゥ・ソレイユに憧れを抱いたのも、氏の演技を見て

「身体の動かし方、音楽との調和、空気の作り方。どれをとっても、『アート』としか言いようがない。彼のような演技を、いつかヨーヨーで披露したい...!」

と思ったことがきっかけです。

静岡で開催されるパフォーミングフェスティバルに出場していたKee氏の演技を一目見ようと足を運んだ私は、運良く氏と個人的に話す機会を得て、さらには自分の演技の映像を見ていただくことが出来ました。

映像を見た氏は、こう言いました。

「キミのヨーヨー技術は素晴らしいが、身体の動かし方はまだまだだね。ダンスを習うといいよ」

以前から、「パフォーマーとしてステージに立つなら、体捌きを磨く必要がある」と理解はしていました。しかし幼いころからの運動への苦手意識ゆえ、その向上を諦めてしまっていたのです。

しかし今回は、あのカリスマViktor Kee氏にいただいた助言です。

東京へ帰った私はすぐさま、バレエ教室へ通い始めました。

運動音痴の男性、しかも25歳という年齢でバレエを習い始める事に、抵抗感が無かったと言えばウソになります。「今更無駄なあがきをしても、意味なんて無いんじゃないか」という思いもありました。

しかし当時の私にとって、夢に近づくための手段は他になく、「1%でも可能性があるなら何でも飛びついてやる」そんな気持ちでした。

身体が硬く、動きもぎこちない中で始めたバレエレッスン。

2年が過ぎ、ようやく少しは動きがマシになってきた頃、大きなチャンスがめぐってきたのです。

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